調査報告

京都中川の北山林業景観

枝下の高さが揃った杉が整然と立ち並ぶ中川の風景。その独特の景観は,小説や絵画をはじめ様々な作品の題材にも取り上げられ,京都山間部の美しい景観の一つとして多くの人々を魅了し続けています。こうした景観は,都の文化を支えてきた北山丸太の生産をはじめ,中川の人々の長年にわたる営みの中で形作られてきたものです。
本報告書は,京都市が平成27~30年度にかけて,中川集落の自然や歴史,人々の暮らしや産業などについて調査し,その営みによって作り出された文化的景観の価値をまとめたものです。
この報告書が,山の営みと都市の営みが共鳴して生まれた,中川のかけがえのない景観を守り育てていこうとする気運を高める一助となることを願っています。

なお,ホームページでの公開にあたりまして,報告書の内容に影響を与えない範囲で修正している箇所があります。
また,内容に配慮し,念のため一部をホームページ上では非公開としておりますが,本報告書は国立国会図書館,全国の都道府県立図書館,京都市立の各図書館,京都市情報公開コーナーで御覧いただくことができます。

表紙:『雲のかけ』より 木立 芸艸堂刊

調査報告書

ごあいさつ

目次

序章 「京都中川の北山林業景観」の捉え方

第1節 京都のなかの北山林業地域
第2節 調査の目的と方法

第1章 京都と結びついた北山林業

第1節 北山林業による景観形成のメカニズム
  • [補論1] 台杉の育林方法
第2節 見出されてきた北山杉
第3節 数寄屋建築への北山丸太の利用
第4節 小結 ― 園芸林業という北山林業の特質

第2章 中川の成り立ちと歩み

第1節 北山地域における中川の概要
第2節 谷あいの自然基盤
第3節 中川に息づいた暮らしの歴史
  • [補論2] 中河村小物成場所見分ニ付出入日記(槇尾山西明寺蔵)及び山絵図について
第4節 中川をめぐる営みの変遷
第5節 小結 ― 京都のヒンターランドとしての中川

第3章 中川の景観の成立と特質

第1節 山の利用と所有
第2節 集落の造成史
  • [補論3] 近世村内町と名字から読みとく中川
第3節 中川の民家と社寺の建築的特質
第4節 林業倉庫の建築的特質
  • [補論4] 山の拠点としての山小屋
第5節 山の仕事と暮らしの空間
第6節 小結 ― モザイク状の山と職住一体の里

第4章 谷に広がる営みの構造

第1節 暮らしの仕組み
第2節 谷の自然を引き込む暮らしの姿
第3節 山の園芸文化
第4節 暮らしの備え
第5節 小結 ― 都市的な性格を持った山の暮らし

第5章 中川の景観を構成する要素

第1節 景観構成要素
第2節 景観単位

第6章 「京都中川の北山林業景観」の価値

第1節 文化的景観の構造
第2節 本質的価値

巻末資料

図版出典・年表・図版