2017.03.27

「まち・ひと・こころが織り成す京都遺産」認定テーマの答申について

「まち・ひと・こころが織り成す京都遺産」認定テーマについて,以下のとおり,審査会から答申が提出されました。(平成29年3月27日)

 

認定テーマ 北野・西陣でつづられ広がる伝統文化
認定理由

 学問の神様で知られる北野天満宮を中心に信仰を集めてきた「北野」と世界に誇る織文化などを育んできた「西陣」。まちの魅力が多くの人々をひきつけてきた北野・西陣には,人々の深い信仰心によって守られてきた社寺やまちなみのほか,西陣で培われたものづくりの文化やそれを支えてきた地域コミュニティ文化,職住一体の住まいの中で育まれた暮らしの文化,さらに,北野天満宮の門前茶屋を起源とし,西陣の繁栄とともに発展した上七軒の花街の文化など,多様な市民文化がいまも息づき,京都を象徴する文化の一つとして,地域を越えて広がっている。

主な構成遺産

北野天満宮,西陣織,上七軒(花街),まちなみ,今宮祭,大報恩寺(千本釈迦堂),引接寺(千本ゑんま堂),食文化,船岡山,京都市考古資料館など  

※そのほか多くの文化遺産がある。

   
認定テーマ 山紫水明の千年の都で育まれた庭園文化
認定理由

 山紫水明の豊かな自然に恵まれ,千年以上に亘り日本の政治・文化・宗教の中心として栄えた京都では,様々な時代の人々が,自然の中に心の感動と安らぎを求め,暮らしの中にも自然を取り込んできた。生活空間の中に自然美を追求するその精神は,作庭の技を育みながら,社寺など数多くの名園を生み出すとともに,町家の坪庭や山里の庭,玄関まわりの植栽,並木・街路樹など,至るところに息づいている。京都の庭園は,作庭した時代の思想や文化を映し出しながら,京都が歩んできた悠久の歴史を見る人に語りかけている。

主な構成遺産

大覚寺大沢池,京都御所(南庭),桂離宮,修学院離宮,鹿苑寺(金閣寺)庭園,慈照寺(銀閣寺)庭園,醍醐寺三宝院庭園,二条城二之丸庭園,大仙院書院庭園,西芳寺庭園,龍安寺方丈庭園,本願寺大書院庭園,今日庵(裏千家)庭園,杉本氏庭園,無鄰庵庭園など

※そのほか多くの文化遺産がある。

   
認定テーマ 世代を越えて受け継がれる火の信仰と祭り
認定理由

 人類は,その歴史を通じ,畏敬と畏怖の念を持ちながら火を操り,文明を築いてきた。1200年を超えて都市であり続け,また,数々の大火を経験してきた京都には,愛宕信仰が生まれ,人々の心に深く刻まれた火伏せの思いは,市民の高い防火意識として今も生きている。また,千年の都として人々の信仰が集まる京都では,精霊迎え・送りや厄除け,祈願成就などのために行われる数々の祭りや行事が,火を重要な要素として執り行われている。京都の火の信仰と祭りは,先人の知恵と思いとともに,世代を越えて大切に受け継がれている。

主な構成遺産

左義長祭(とんど),嵯峨お松明,愛宕神社,万灯会,京都五山送り火,松上げ,三栖の炬火祭,鞍馬火祭,岩倉火祭,御火焚,をけら詣りなど

※そのほか多くの文化遺産がある。