2018.03.30

「まち・ひと・こころが織り成す京都遺産」認定テーマについて

「まち・ひと・こころが織り成す京都遺産」認定テーマについて,以下のとおり認定しました。(平成30年3月30日)

 

認定テーマ 明治の近代化への歩み
認定理由

 京都は明治維新で都の地位を失い,人口の3分の1が減少するなど,都市存亡の危機に直面したものの,市民ぐるみで困難に立ち向かい,全国に先駆けた小学校の創設や高等教育機関の開設,琵琶湖疏水の建設,日本初の事業用水力発電所の創業や電車事業の開始など,先進的な取組に挑戦して今日の発展の礎を築いた。将来を見据えて人を育て,産業を振興し,文化を創造した明治期における京都の歩みを再確認し,京都の特質やまちづくりの精神を改めて共有することで,これからの京都のあり方を考える契機となる。

主な構成遺産

番組小学校(柳池校跡),近代産業(島津製作所創業記念資料館),伝統芸能(都をどり),まちづくり(新京極),伝統産業(西陣織),学術振興(女紅場址,京都市立芸術大学),京都御苑,琵琶湖疏水(琵琶湖疏水記念館,インクライン,蹴上発電所,南禅寺水路閣),近代建築(同志社彰栄館),市電,平安神宮,映画(日本映画発祥の地),京都岡崎の文化的景観など  

※そのほか多くの文化遺産がある。

   
認定テーマ 千年の都の水の文化
認定理由

 三方を山に囲まれ,鴨川や桂川などの河川が流れる京都において,人々は度重なる水害と闘いながらも,良質で豊富な水の恩恵と平安遷都以前から発達させてきた用水技術等により,暮らしを育んできた。さらに,千年の都として,長らく日本の政治,文化,宗教の中心地として栄える中,野菜,酒といった食文化のほか,庭園や茶の湯,京友禅などの伝統文化,産業を育んできた。人々に命と豊かな文化,産業をもたらしてきた水に対する感謝の気持ちとその神聖な力に対する信仰心は,今も様々な形となって残っており,人々の心を豊かにしている。

主な構成遺産

河川(鴨川),運河(高瀬川),用水(洛西用水),名水(松尾大社の亀の井),池(深泥池),湧水(神泉苑),滝(音羽の滝),信仰(貴船神社,手水舎),京料理,京野菜,清酒,京菓子,茶の湯,京友禅など

※そのほか多くの文化遺産がある。

   
認定テーマ 京町家とその暮らしの文化
認定理由

 京町家は,京都の美しい景観と四季折々の自然の中,都市やその近郊の住生活を通じ,様々な暮らしの知恵と工夫が積み重ねられ,それぞれの地域で多様な発展を遂げてきた。京町家は,その美しくリズム感のある外観が趣のある歴史的景観を形成するとともに,自然とともに住み,働き,学び,憩う空間として,家族や地域の絆を深めながら,様々な暮らしの文化を育んできた。京都のアイデンティティの象徴として,京都がこれからも世界の人々を魅了する都市であり続けるためにも,京町家とその暮らしの文化を未来に受け継いでいく必要がある。

主な構成遺産

多様な町家建築(杉本家住宅,瀧澤家住宅,小川家住宅,角屋),意匠(座敷,格子),材料(北山丸太),多様なまちなみ,路地,暮らしの文化(建具替え,庭,打ち水,ばったり床机,おくどさん)など

※そのほか多くの文化遺産がある。